金型鋳造法とは
金型鋳造法とは、反転型を金属で製作し、その中空部に金属を流し込み、固め、製品を製造する方法です。
反転型を砂型で作る、砂型鋳造法と比べ、精度が高い、製品コストが安い、量産性が高いなど様々なメリットがあります。
型費が高いというデメリットはありますが、単価が安いので一定数量以上の生産が見込めればトータル費用が安価となります。
金型鋳造法の技術的な問題
金型鋳造法には大きな技術的な問題があります。それはガス抜けの問題です。
砂型鋳造法の場合、反転型内の空気は砂の隙間から排出されますが、金型の場合はそれは不可能です。
結果、押し出しピンの隙間や、型割りの隙間などのわずかな隙間から抜けていくこととなり、これが円滑に行われなければ品質のよい製品は生産できません。
この問題を解決するために多くの金型鋳造法が誕生しました。
■ダイカスト(ハイプレッシャーダイキャスト)
金型鋳造法で最も有名なダイカスト(ハイプレッシャーダイキャスト)は、加圧によりガス抜けの問題を解決しようとしています。
型内部に高圧でアルミ溶湯を流し入れることで、内部のガスはアルミ溶湯の中に溶け込み分散し、外観はきれいな製品が生産可能です。
しかし、型内部の空気は製品内部に見えない気泡となり残っているため、肉厚部の強度低下、溶接、熱処理不可などのデメリットが伴います。
■重力金型鋳造法(グラビティーダイキャスト)
重力金型鋳造法(グラビティーダイキャスト)では、金型表面に塗型をすること、注湯時にガスと湯が対流することでガスを抜いています。
製品内部にガス欠陥を発生しづらく、内部品質のよい、耐圧性の高い、ピンホールの無い製品を作ることが可能です。
鋳肌は梨地となり、外観は砂型に近くなります。
■低圧鋳造法(ロープレッシャーダイキャスト)
低圧鋳造法(ロープレッシャーダイキャスト)では、製品下部から加圧した溶湯をゆっくり入れることで、型内の空気は上部から抜け、製品形状によっては理想的な鋳造が可能です。
内部品質は問題なく、外観もよいです。しかし、金型のコストがかかることや、量産性に優れないといったデメリットがあります。
■真空ダイカスト
ダイカストの欠点、製品内部への空気の巻き込みを防ぐため誕生したのが、真空ダイカストです。
型内部の空気を、吸引して真空に近い状態にし、溶湯を流し込みます。
元々空気が存在しないため、空気の巻き込みも起こりません。
これによって生産された製品はダイカスト品でありながら、熱処理、溶接等も可能です。
ただし、型費と設備費はかなり高額となります。